新着情報

2016.12.15

オートファジー解明が開く、ガンやアルツハイマーの抑制

 

細胞内でたんぱく質を分解し、リサイクルする「オートファジー」と、
さまざまな病気との関連性や創薬の可能性がわかってきた。



今年のノーベル医学生理学賞に決まった大隅良典・東京工業大学栄誉教授が研究する「オートファジー(自食作用)」は、細胞が不要になったたんぱく質を分解して栄養源に再利用する仕組みだ。その分解がうまくいかない場合、病気の症状が表れると考えられており、がんや糖尿病、アルツハイマー病、パーキンソン病、消化器系の難病であるクローン病との関連が指摘されている。

「オートファジー」とは、ギリシャ語でオートは「自分」、ファジーは「食べる」を意味する。細胞内に生じる特殊な膜(隔離膜)が不要になったたんぱく質を直径0.001㍉ほどの範囲で取り込み、閉じた膜(オートファゴーソム)となる。オートファゴーソムは分解酸素が詰まったりソソームと融合し、内部のたんぱく質などを分解し、エネルギー源や自分自身を作る材料として再利用する。
オートファジーのもう一つ重要な機能は、細胞内で劣化し、ごみとなったたんぱく質などを掃除してくれる。


抗加齢にも期待


現在、がんをターゲットにした新たな治療法の研究が進んでいる。創薬ターゲットとしては、すい臓がんや乳がんなどが挙げられる。科学技術復興機構によると、増殖を繰り返すがん細胞は十分な血管新生が伴わないため、低栄養や低酸素などの状態で生きている。オートファジーの栄養源供給が、がんの増殖に貢献していると推測され、その働きを抑えれば、がんの増殖を止めることができると考えられている。

がん細胞が増える原因の一つは、がん遺伝子の中で細胞増殖のアクアセル踏み込まれることだ。増殖アクセルとされる要因の一つが「Ras」と呼ばれる遺伝子で、この遺伝子の突然変異ががん発生の一因とされている。
特に、すい臓がんは役90%にRas遺伝子の変異が伴っている。Ras遺伝子の突然変異により、形状転換下がん細胞は、オートファジーが常に活性化した状態となる。こうしたオートファジーが常に活性化した状態となる。こうしたオートファジーの働きを抑える薬があれば、がん患者の治療に使うことができる。

抗マラリア薬のクロロキンとヒドロキシクロロキンは、リソソームの機能障害を起こすことで、オートファゴソームがリソソームと融合する過程を阻害する効果が認められている。米国立衛生研究所(NIH)によれば、米国では、ベンシルベニア大学など多くの機関で、こうしたオートファジー阻害薬の臨床治験が行われている。
一方、パーキンソン病は、ごみになった特定のたんぱく質が神経細胞内に蓄積することによって起こる。アルツハイマー病も毒性のあるたんぱく質が細胞内に蓄積されることが発症原因との説が有力だ。そのため、オートファジーの浄化作用を促せば、症状を抑えることができると考えられていると考えられている。

大隅氏の教え子でもある水島昇・東京大学教授は「加齢とともに、細胞内に悪いたんぱく質や小器官がたまることが神経の活動に悪影響を与えているならば、オートファジーの浄化作用は抗加齢などにも有効かもしれない」と話す。
オートファジーを創薬で活用する企業は、欧米を中心に増えつつある。米ファイザーや、武田薬品工業が買収した米バイオ薬品会社ミレニアムなどが挙げられる。
国内では、オートファジーの研究に使う製品を販売するタカラバイオ、オートファジーの関連試薬を手がけるコスモ・バイオのほか、水島教授とオートファジーに関する研究を続けてきた医学生物学研究所などが注目されている。

オートファジーは、いまだ解明されていない事が多い。水島教授は「細胞がなぜオートファジーを行うのか、どうやってオートファゴーソムが作られるかなど多くが未解明のままだ。今後も基礎研究を進める必要がある」と言う。オートファジーの作用は、その分子機構の多くが謎に包まれており、日本は欧米に比べて、トランスレーショナルリサーチ(臨床応用を直接目指す研究活動)が遅れているという状況もある。

とはいえ、1990年代半ばは、わずか数十本だったオートファジー関連の論文は、今や年間3000本を上回る。ノーベル賞受賞で研究への関心はより高まると思われる。オートファジーの研究が、今後の創薬に生かされることを期待したい。

月別アーカイブ

月別アーカイブ

最新記事

2016.12.15
オートファジー解明が開く、ガンやアルツハイマ…
2016.03.15
認知症・花粉症薬 iPSで医療基盤研
2016.03.09
画期的新薬生む成果続々
2016.03.08
IPS 健康寿命延ばす
topics 2015.08.26
C型肝炎薬 アジア展開
Copyright (C) キャリアティーエム. All Rights Reserved.